もともと自然の中にプラントがある
43年、水島工業地帯の化学プラントに勤務しました。
交代勤務で、昼も夜もプラントの現場を点検してきましたが、化学プラントの中に
こんな生物の痕跡が? と驚くこともありました。
自然の生き物に、プラントだから、とか関係ありませんね。生きるのに便利の良いもの
は利用する、それだけなんだと実感する事が何度もありました。
そんなシリーズのお話です。
プラントの中の最上階の床に大きなボラがいた?
金属の骨組みのプラント、最上階(4階)は屋根がありません。20畳くらいの広さで
しょうか。点検の為に階段を上がりきると、床に50cm程のボラが転がっていました。
皮膚はまだ乾いておらず、食べられそうな位に新鮮でした。
私は、すぐにピンと来ましたが、ミサゴというタカを知らない人は、「ギョッ!」と
するしかないでしょう。
この4階のフロアには、高さ40m程のタワーが隣接しているので、そこでテイクアウト
のお食事をする事は可能です。それ迄にも、頭と骨だけのボラが転がっていた事が
あったので、ここがそういう場所であろうとは思っていました。プラント内でも、特に
ここでよく見る現象でした。
しかし、この時のボラは食べた跡が見当たりませんでした。50cmのボラは結構大きい
です。ミサゴがダイブして獲物を捕らえてみたけど、大物すぎてテイクアウトが大変
すぎるので、途中で放棄・・・・という光景はたまに見ます。
この時のボラは、そういう捕られ損の被害魚だったのではないかと・・・・。
現場には繊細な機器が沢山あるのに、こんな大物を上空から落とされたら、大変なこと
になるな~とも思いました。
ミサゴは増えていると、10年かもっと前?に、聞いた気がします。最近は、高梁川の周
辺でも少し待っていると、すぐに飛んできてくれるので、随分と身近なアイドルになっ
てくれたと感じます。
プラント内で謎の異音がすると調査する騒ぎに
プラントの点検は、目と耳と鼻を使います。設備がいつもと違う音をしていると、異常
の兆候ではないかと考えて調査をしたりします。建屋内で「クックックックッ」という
変な音がするとの報告があり、数名で入れ代わり立ち代わり、点検に行ったけれども
音源がどこなのか分からない。と話題になった事があります。
私はその前から、ある鳥の存在に気付いていたので、現場を歩いて確認していると
やはり、地鳴きの声が聞こえて・・・・・姿を確認しました。イソヒヨドリです。
現場には、切り立った形の建屋、大量の水を溜めたピット、排水溝、などがあって
いかにもイソヒヨドリが好みそうな立地条件という感じになっています。
建屋の隅の柱の隙間に巣がある様でしたが、誰にも言わずそっとしておきました。
何年にも渡って、この現象が続いていたので、同じプラント内で繁殖していたのでは
ないかと思っています。
現場点検の際、元気に飛んでプラント内を行き来するイソヒヨドリの姿を見ると、プラ
ントは、自然から奪う一方ではないのかもしれないと、安心する様な気持ちになったの
を思い出します。
断捨離で、鳥などの写真もかなり整理しました。イソヒヨドリの写真は廃棄していました。そのうち、港のイソヒヨ観察もしたいと思います。