鯛釣りの余韻に浸った1か月
あまりに魅力的な「鯛のフカセ手釣り」の後、なかなか他の釣りをしたり、他の遊びをする気になりませんでしたが、6月に入って、湾内に銀色のチヌたちが入って来て、何度も元気な引きを見せてくれました。ずっと鯛釣りの余韻に浸っていたいところですが、鯛釣りを思い起こすのは今回を最後にして、日常に戻ります。
2枚潮の時の仕掛の流れ
2枚潮というのは、上層と下層の流れが違う状態のことを私達は言っていますが、潮の流れというのは本当に複雑なものです。個人的に、湾内とかでは水温の違い?、河口では塩分濃度の違い?で、2枚潮を実感する事があります。
ここでは他に、大きな岩礁にぶつかって向きを変える流れとか、広島湾からの川の影響とか・・・・ そんな話を船頭さんから聞いた事があります。風の影響も勿論あると思います。とにかく潮の流れと言うのは複雑で難しいもので、素人には理解が難しいです。
で、釣りに関しては、基本、底潮(下層の流れ)が動いていれば、魚は食う。上潮が動いていても、実は底潮が止まっていれば魚は食わない、と昔から船頭さんから聞いています。実際の釣果もそうです。
➀上潮と底潮の速さが違う2枚潮
勘違いしがちなのがコレです。仕掛けを出すと流れていく。「良い潮が流れてる」とご機嫌で、流し終わった仕掛けを回収するつもりで糸をたぐっていくと・・・・ 遠くから上がってくるはずの仕掛が、すぐ近くから上がって来る。果ては、すぐ近くで根掛かりしていた。(下図)
底潮が止まっている場合、仕掛けの先端が着底した事に気付かないまま、上潮の流れに引っ張られた途中の糸だけが、どんどん出て行くという形。底潮が僅かに流れていても、それに対してオモリが重すぎる場合も、こうなります。
底潮が全く動いてなければ、魚は食わないので、こんな時は、釣り人が食う「お食事」タイムにでもします。餌を底付近で漂わせて流さず、糸を持ったまま、おにぎりにかぶりつきます。突然、底潮が動き始めて魚が食って、糸が飛び出て行くこともあるので、心の準備だけはしておきます。
逆に、上潮が動いてなくて、底潮が動いている場合(このケースは少ないですが)、魚は食います。しかし、オモリを軽くしすぎて、餌が底付近まで沈んでいないという状況になる可能性があります。
どちらの状況でも、仕掛けを回収する時、或は、仕掛けを流す途中で少し引っ張り上げてみた時、糸の角度が変わらないか、という確認を何となく行いながら釣ることは重要です。
②上潮と底潮の流れの向きが左右に違う2枚潮
大潮などで速い潮が流れる時は、上潮と底潮の向きが一致している事が多い気がしますが、潮が緩い時は、上潮と底潮の向きが違う2枚潮というのは、結構多いです。底潮がポイントに向かって流れる場合は、上潮の影響をある程度抑える事が出来れば、ポイントを狙って釣る感じになります。一例を下図に。正面の赤〇がポイントだとします。
上潮が右へ、底潮が正面へ流れているとします。
仕掛けを投入すると・・・・
右へ流れます。仕掛けを出して行って、底潮に到達すると ↓
仕掛けの先端が底潮に入って、底潮に引っ張られるようになり・・・・
上潮で右へ振った仕掛けが、次第に正面へまっすぐ伸びていき・・・・
なんとか、狙いたいポイントへ入っていく、という形です。これを実現する為に、オモリを重くするというのが簡単です。但し、底潮での餌の流れは鈍くなり、魚の食いが悪くなるかもしれない。
そこで、もうひとつのやり方は、軽いオモリで投入して、糸を思い切りたるませたまま流し、速く沈ませて上潮を通過させる。仕掛けが底潮に到達したあたりで糸を張り気味にして、底潮の流れで仕掛けをまっすぐに整える。実際にそうなっているか分かりませんが、まあ、こんなイメージでやっています。
また、隣の釣り人とお祭り騒ぎをしないよう、対応を示し合わせる事も必要です。こういう事を考えるのも、釣りの楽しみの一つだと思っています。
因みに、その日、その時の潮の流れが、百戦錬磨の船頭さんの予想と違う、という事も多々あります。自然と言うのは何と複雑なんだろうと思います。だからこそ、上手く釣った時の喜びは大きいのでしょう・・・・?
私は、正直言うと難しい潮は楽しくない。やはり素直に流れる潮で、高活性の鯛をバシバシ釣るのが好きです。そんな潮なら、誰でもバシバシ釣れるだろうと思いきや、意外とそうではなく、複雑な潮でこそ本領を発揮する人もいたりして・・・・ 釣りと言うのは人間性までが出るものだと(どう出てるのか分かりませんが)、不思議なものです。
掛からなかった魚を追い食いさせる
その時の食いによって、アワセが不十分で、魚が掛からなかったり、すぐに針外れしたり、という事は時々あります。そこで「あー残念」と、仕掛けを流すのをやめてしまうケースを何度も見ました。しかし、これはチャンスです。食う気満々の魚が1匹そこにいる、或は周りにもいる可能性もあります。ここで、追い食いさせる為の操作です。
アワセによって仕掛けが数m上ずった状態になっています。少し下げてやる、ただそれだけの事ですが、魚が追い食いできる領域へ入るかもしれません。
あ! と思ったら即、手元の糸を数m分、海へ放り込みます。
糸を数m分たるませた状態だと、アタリが分からない気もしますが、追い食いするほど食い気が立った魚は、微妙なアタリ方をしません。たるんだ糸が一気にバシッと張るくらいのアタリを出してくれます。早々と諦める前に、これぐらいやっても損はしないと思います。
このやり方で、何枚も鯛に追い食いしてもらいましたが、これで釣ると「食わせた」という満足感が大きいです。その前に掛け損なった事など、綺麗に忘れます。
糸の感触、鯛の引き、潮の流れ、などなど。初めて行ってから、30数年になるので、1つのシーンで色んな事柄を連想したりして、この釣りには、楽しさしかありません。
最近は動画編集という趣味も加わり、撮った動画を1か月かけて編集して仲間に配りました。これも、なかなか楽しいものです。
ここらで納得して、ようやく日常の世界へ戻ります。 次は、海の中? 山? 川?