「山はいい~」とノビをして前へ向きなおったら3m前に猪がいた
先日アナグマに出会って、猪と出会った事を思い出しました。今回はそのお話です。
当時はまだ道路の周りの木々の背が低かったので、岬の様な地形の先端に立つと
山々、下界の集落、広い空・・・・・・「あぁ~山はいい~」とノビをしたくなるのです。
その日も、お決まりの所で車を止めて、絶好のポイントで思い切り「あ~っ」と
体を反り返らせてノビをしました。滅多に車など来ないので渾身のノビです。
すっきりして、体を前へと向きなおると、正面3mの所に猪がいました。
ーー後で気付いたのですが、そこは獣道が道路を横断している所の様で、猪は道路の
下の獣道から道路へ出てきたところ、ちょうど大の字で反り返る変な人間が立っていた
という状況だっと思われます。ーー
あまりに突然の出来事で「えっ何?」などとも思わず、「・・・」て感じでした。
すると、猪の方も「・・・」て感じで、まずはお互いにフリーズ状態。
私が折角の体験を目に焼き付けようと、猪の体高が私の腰の高さ位、目がくりんとして
中々に愛らしい、牙は見えない、などのイメージを感じ取っていた事で、一瞬の「間」
が生じました。すると猪は、その「間」を嫌ったのか「ブシュッ」と。
まるで犬みたいだなと感じたのを覚えています。(昔、ウチにいた犬を思い出して)
そこで「そうだカメラ!」と思いつき、車との距離の確認の為に、視線を車へ(1秒
くらい)向けて~視線を戻すと、もうそこに猪の姿はありませんでした。
大きな獣なのに、ダッシュした様な音や気配を感じませんでした。
野生とは、こういう事なんだと思いました。
車に置いていた一眼レフを持って、道路の10mほど下にある獣道を歩く猪を確認。
途中で見失いましたが、100m程離れた所の道路に再び出て、落ちている栗を上手に
食べている姿を見つけました。
30m程の距離を置いて写真を撮っていると、猪はこちらを睨む様な態勢から、こちらへ
向かって5m程ダッシュしては戻り、ダッシュしては戻り、を3回繰り返しましたが、
私が微動だにしないと、諦めた様にシュンとした様子で茂みに入って消えました。
ダッシュは3回とも5m程で、猪突猛進ではなく、制御した威嚇の様に感じました。
栗を食べたいんだなと思い、すぐにその場を立ち去りました。
猪にとっては、とんだハプニングでしょうが、私にはとても貴重な体験でした。
(睨み中)
(ダッシュ後)
余談ですが
後日、同じ山を歩いていると、車ですれ違ったお婆さんと、その娘さん(?)から声を
かけられました。
お婆さん「あんた1人?・・・・ここ猪でるじゃろ。怖ぉぅねぇん?」
私「あ~猪、この前出ましたよ。まぁ熊はいませんから。」
お婆さん「あんた、猪より女には気を付けねぇよ~」「女は怖ぅぇ~からなぁ~」
私「はい、気を付けます」 娘さん(?)「笑」
山には、獣より大きな危険もある様なので、もっと気を付ける事にしました。
(お婆さんの写真はありません)